コラム No.71〜80


 No.80
 ◆泣く子は育つ!

2010/4/19

 私は今、大阪の中央区に住んでいます。東京で働いている娘が久しぶりに帰省してきました。それにあわせて、娘の学生時代の友人カナコが、旦那と一緒に生後8ヶ月の赤ん坊を連れてわが家へやってきたのです。赤ん坊を見せに来たのですわ。
 名前は悠悟(ゆうご)。まぁー、よく太ってぶっちゃいくな……いや、丈夫で元気いっぱいのたくましい赤ちゃんです。桜島大根もどきのプリプリの手首と足首のくびれは、輪ゴムで止めたみたいです。他人の子ながら、めっちゃかわいい。
 「おい、カナコ、おっちゃんに抱かせてくれ」
と言うと、
 「あかん!この子は他人に抱かれるとすぐ泣くねん」
と言います。
 「おい、おっちゃんを誰やと思てるねん?子供を何人も育てて育児にはうるさい、子供大好き人間や。小児科の正児か?と言われてる男やで。おっちゃんが抱いて赤ちゃんが泣いたことなんか今までに一回もないわ。泣いてる子でもにっこり笑う、子守の名人やで」
と言って、赤ちゃんを抱きました。
 「ウワーン!!」
と間髪入れず大声で泣き始めました。
 「こりゃ、あかん」
とすぐにカナコに返しました。この時、私の胸のポケットに携帯電話を入れていたのに気づき、これがゴツゴツして痛かったのか…と電話を外して改めて抱きました。また、
 「ウワーン!!」
 私の子守名人伝説は崩れ落ちました。面目丸つぶれです。でもかわいいから、大人5人でたらい回しをして悠悟と遊びました。4時間ほど騒いで、カナコ一家は帰る支度をしています。泣く子は育つ!
 車のところまで見送りに行くと、悠悟はチャイルドシートに座って眠そうに目をトローンとさせています。
別れ際に私が悠悟のほっぺをチョンチョンとつついて、
 「悠悟バイバイ!」
と言うと、また大きな声で
 「ワァーン!」
 大きな声で泣け、泣く子は育つ!


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 No.79
 ◆流れ星に願いを…

2010/4/6

 昔から、願い事をかなえてほしい時には流れ星に願をかけましたね。流れ星の光が消えないうちに声を出して言う、それも大きな声で3回。子供の頃は可愛い願かけでした。流れ星に願いを…母親が明け方にぜんそくで咳き込んでいるのを見て、流れ星に、
 「お母ちゃんのぜんそく治れ!」
と叫んだこともありました。いい子だったのです。
 この間、地方へ行ったのですが、久しぶりに流れ星を見ました。癖ですね、思わず声が出ました。
 「お金!お金!お金!」
……大人になったんですね。


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 No.78
 ◆最終回、終着駅は始発駅

2010/3/20

 ゴルフを始めてから35年が過ぎました。そのゴルフの失敗談を川柳に読み、その時の様子をイラストに描いて、スポーツニッポン新聞(関西版)に連載していただきました。平成10年6月4日がスタートでした。
 週1回の連載でしたが、11年間にわたって掲載させていただきました。それが今月で終わりになります。あっという間の11年でした。
 いろいろな人とゴルフをしました。プロゴルファー、野球選手、タレント、歌手、お相撲さんなど、職種の違う人たちと付き合って、人間関係がぐっと広くなりました。日本で初めてボクシングの世界チャンピオンになった白井義男さん、プロゴルファーのジャンボ尾崎さん、杉原輝雄さん、島田幸作さん、前田新作さんらとゴルフを通じていろいろなお話をうかがって、最終回、終着駅は始発駅勉強し、ネタにさせていただきました。私の前の組で近鉄の仰木監督と野茂投手が仲良くプレーをしていたこともありました。元タカラジェンヌの鳳蘭さん、演歌歌手の中村美津子さんは、私が司会したパーティーで舞台に飛び出してきてくれて、場内をワッと盛り上げてくれました。

 3月28日が最終回です。スポニチを買って読んでいただければ大変うれしいです。コラムは終わっても、私のゴルフはまだこれからです。
 「最終回、終着駅は始発駅」
 街で私の顔を見たら、声をかけてやってください。


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 No.77
 ◆同姓同名の同級生

2010/2/22

 学生時代、一緒のクラスに同じ名字の人がいませんでしたか?田中、中村、鈴木という平凡な名字ならともかく、変わった名前で同姓同名の人がいたという話です。
 本廣崇志(もとひろ たかし)さんです。2人は双子でも兄弟でも親戚でも何でもありません。まったくのあかの他人です。名字だけなら名前で読んでみたり、フルネームで呼んでみたりできますが、名字も名前も同じですから困ったものです。テスト用紙を返してもらう時、よく間違えられていました。靴やカバンや帽子の忘れ物をしても、名前は書いているのにすぐには戻ってきません。山口県の人でした。
 2月16日、山口中央農協(JA)女性部800人の集まるイベントに、私が講師として招かれました。1時間30分の講演を行い、その時迎えてくれた女性部の上司が本廣さんでした。本廣間違いは中学時代の3年間で終わり、高校、大学は別々の学校に行ったので、ごたごたはありませんでした。
同姓同名の同級生 就職する時に大きな組織で働きたいと、地元で信頼の置ける山口中央農協を選びました。
 履歴書を書いて、JAの門をくぐると、受付にどこかで見覚えのある男性がいます。2人とも、同時に同じ言葉が出ました。
 「あっ、本廣崇志くん!」
 「なんで君がここに座ってるのん?」
 「君こそここへ何しに来たのん?」
 久しぶりの再会です。それ以来、今もなお、2人の本廣崇志が同じJAの中で働いています。ちなみに、2人の誕生月も同じ9月です。これまた不思議な偶然でした。


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 No.76
 ◆寒風の中、豆まきに

2010/2/6

 今年の節分は裃(かみしも)、袴を着て豆まきをしました。わが家はミナミのど真ん中です。北の端の淀川沿いの神社まで40分かけてチャリンコで出かけました。「ギャラは電車賃 そこそこしか出えへんけど…」と言われましたが、家にいるのも退屈なので、寒風吹きすさぶ中をチャリンコ王子は走りました。
 小さい神社でしたが、暗くなると人が集まってきました。私の担当は、19時から20時までの間の3回です。寒風の中、豆まきに
 「鬼は外!福は内!」
と夢中でやってると、小学生の悪ガキが欄干越しによじ登ってきて、私の持っている升の中の豆を取りました。最近の豆はきれいな透明の袋に20粒ほど入れて包装してあります。
 「こら待て!ドロボー」
と3人の悪ガキから取り返します。そこで説教です。
 「あのなぁ、君ら、盗んだらドロボーやぞ。豆まきの豆のような縁起物の福は自分でつかみ取れ!」
と言って、
 「鬼は外!」
とやりながら3人の悪ガキに1袋ずつ渡してやりました。
 「おじさん、ありがとう」
素直な悪ガキです。皆に福が来るよう、そして それが私にも回って来るように願いながらの豆まきでした。
 豆まきが終わると、主催者の言うとおりギャラは電車賃そこそこでした。帰りがけに神社近くの立ち飲み屋で地元の人とワイワイガヤガヤとやりました。きっちり足が出てしまいました。
  また、寒風の中を走って帰りました。


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 No.75
 ◆変な公園

2010/1/23

 私の住んでいるマンションの前に、小さな公園があります。若くてきれいな水商売の女性が住んでいる街なので、公園にはいろいろな人が集まってきます。
 週に2回は老人クラブ のメンバーがチームを組んで、ゲートボールの試合をしています。子供や学生も大勢集まります。東南アジア系、ヨーロッパ系、アメリカ、カナダは言うに及ばず、ケニアのスーパーマンみたいな人もいますから、国際色豊かです。子供もハーフやクオーターのような子が多く、皆背も高くきれいです。大声で「キャッ、キャッ」と仲良く騒いでいます。大人や年寄りは自分の国の 言葉をしゃべる人もいるのでわかりにくい時もありますが、子供たちは皆日本語がうまい。しかも大阪弁一色です。ほんまに笑いまっせ。
 40uくらいの小さな公園で、設備も大した物はありません。鉄棒と滑り台と小さなジャングルジムがあるだけです。ベンチは3つ、4つあります。
 朝、夜が明けると、早々と犬の散歩組の登場です。1人で5、6匹連れて来て公園内でリードを外すので、犬が走り回っています。飼い主は携帯でしゃべっているか、メールを打つのに専念しています。公園内に犬が20匹くらいいることもざらにあります。ベテランの常連は夕方に出てきます。コンビニやスーパー玉出で缶ビールやつまみを買っての登場せす。家でおかずを作って持ってくるおばちゃんもいます。変な公演この寒いのに、雨さえ降らなんだら暗くなるまで毎日ミニ宴会です。
 でも、気をつけてくださいよ。暗くなって足元が見えなくなると、ついうっかり犬のウンチを踏んでしまいます。そんな時のため、足の洗い場があって流せるようになっているんです。
 別に何のとりえもない小さな公園なのに、何で大勢の人や犬が集まってくるのやろ…。変な公園。


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 No.74
 ◆1億円、どこ行った?

2010/1/13

 去年の暮れの寒い日に嫁が買い物をして帰ってきました。ニコニコしています。
 「買うてきたで、買うてきたで、1億円の年末ジャンボ宝くじ!」
と、宝くじをヒラヒラさせています。
 「思い切って10枚。この中に1億円の当たりくじが入ってんねん」
ともう当たったような顔をしています。私は生まれてこのかた宝くじは1回も買ったことがありません。嫁は「お宝、お宝」と言いながら、自分の戸棚の真ん中の棚に大事にしまっています。そして、
 「宝くじをなめてたらいかんよ。とにかく現実に当たってる人がいるんやからね」
と念を入れてますが、私は、
 「ゴビ砂漠で1粒の米を拾うようなことができるかい」
と見向きもしませんでした。
 「おい、この間、新聞で見たけど、宝くじは当たってるのに取りにこん人がいっぱいおるんやてなぁ」
と言うと
 「自分が買うといて忘れてるとか、なくしてしまったとかのんびりしたアホな人がいてるんよ」
と自分だけはしっかりしていると言わんばかりの口ぶりです。
 宝くじの話はそれっきりになっていました。12月31日 の新聞に「ジャンボ宝くじ当選番号!」とデカデカと出ていました。1億円、どこ行った?
 「おい1億円の発表やぞ!」
 嫁が飛んで来ました。
 「そうや、今日や!今日や!1億円の当たる日や!」
と隠した戸棚を開けました。
 「ない!ない!1億円の宝くじがない!」
と うろたえています。30分ほど戸棚をひっくり返した後、
 「あぁ、そうや…」
と立ち止まりました。
 「4、5日前に戸棚の中がゴタゴタしてるから整理整頓したんや。あの時にパンフレットやチラシのいらんのがあったからまとめて捨てた…そうや、あの中に挟んでたんや……」
とうつろな目になりました。ゴミはとっくに処理されています。
 「せっかく当たっとったのになぁ…えらい損害や」
とあたかも当たり券だったかのような落胆ぶりです。あれからもう何日も経っていますが、今でも宝くじのことを思い出しては嘆いています。
 「よかった、私でなくて…へッへッへッ」


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 No.73
 ◆天気はええけどスコアは悪い

2009/12/31

 そろばん学校の先生のゴルフコンペに参加しました。3組だけの小さなコンペで、何と成績はビリケツ!べった、ですわ。何十回、何百回とゴルフコンペは参加しています。優勝経験も何度かありますが、最下位という苦杯は初めてです。いつもの言い訳ですが、左ひざの痛みが再発して下り坂は歩けません。キャディさんやメンバーのみなさんに迷惑をかけてしまいました。
 夜の食事会は河岸を変えて、ネオン街で成績発表とカラオケ大会です。天気はええけどスコアは悪いそろばん学校の先生山口さんをはじめ、ゲストには元パーソナリティで元衆議院議員、そしてタイガースファンでもある中村鋭一さんも駆けつけてくれ、大いに盛り上がりました。中村鋭一さんは山口さんが主催する山遊会の名誉顧問、そして私は名誉会長です。
 私はゴルフで負けても、マイクを持ったら負けていられません。息を吹き返し、急に大きな声が出始めました。カラオケは点数の出るやつです。みんながんばって歌っていますが、85点 あたりをウロウロしています。私は今は亡き三橋美智也さんのナツメロ「あゝ新撰組」を歌いました。
 「♪加茂の河原に千鳥が騒ぐー♪」
95点を出し、ぶっちぎりのトップです。
 中村鋭一さんも一時は体調を崩しておられましたが、今はすっかり元気で顔色も良く、きれいな白髪が輝いて元気そのものです。別れ際に握手をした時、中村さんが私の顔をじっくりと見て、
 「正児くん、若い、全然歳を感じへん。元気そのもの、テンポもええし、さすがプロやねぇ」
と言ってくださったのには感激しました。


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 No.72
 ◆しもた!財布忘れてきた

2009/12/19

 寒波の到来した12月の半ば過ぎに大阪市内で講演がありました。夕方の6時からでしたが、ゴタゴタとすることがあって家を出るのが遅くなり、慌てて飛び出し、タクシーを拾いました。夕方で道が混んでいましたが、個人タクシーの運転手さんが空いている道を上手に走ってくれました。
 目的地が近くなった時、財布を忘れたことに気がつきました。
 「しまった!家へ忘れてきた」家へ引き返すには時間がない。
 運転手さんに事情を話して、
 「レツゴー三匹の正児という者ですが……」と言うと、
 「存じています。私の毎日走る道で正児さんが自転車の前カゴにワンちゃんを乗せて走っているのを見かけます。今度会ったら、私が声をかけますのでその時に払ってください。ちなみに料金は1,200円です」しもた!財布忘れてきた
と気持ちよく目的地で降ろしてくれました。
 家へ帰って嫁に話すと、
 「いい運転手さんでよかったね」
と笑っていました。そこで私が、
 「これからは犬のポポの散歩の時には必ず1,200円を封筒に入れて持って出るからね」
と言うと、
 「アホ、きっちり1,200円なんか入れなさんな」
と 笑われました。
 「そうや、お礼の意味も込めて1,500円にしよ」
と言うと、
 「アホ、2,000円ぐらいは入れなさい」
と言う のでした。それもそやなあ。


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 No.71
 ◆触らぬ神に祟りなし

2009/11/23

 今年の夏ごろからでした。ポポの朝の散歩の時間帯(午前7時半頃)に、いつも1人で公園のベンチでコンビニ弁当を食べている70歳くらいの男性を見かけるようになりました。一人暮らしなのか、家では食事ができないのか、朝の食事はゆっくり1人で外の景色を見ながら食べたいのか、理由はわかりませんが、寂しそうに静かに箸を動かしています。一段と寒くなった11月に入った今もまだ続いています。失礼ですがホームレスかもしれない。他人のことを心配するのも変ですが、気になっていました。触らぬ神に祟りなし
 先日、山陰地方へ講演に行った帰りに、郷土の土産をたくさんもらいました。その中で柿とまんじゅうが余りました。公園で朝食を食べているおじさんにあげようと、ビニール袋に入れて朝の散歩に持ってきました。
 朝の公園、冬の7時半は寒い。おじさんはいました。いつもの所で今日はコンビニおでんを食べています。
 「今日は寒いですね」と私が声をかけました。チラッと振り向いたけれど、また、黙々と食べています。
 「いつも 1人で寂しくないですか?」と言うと、
 「なんじゃお前は!?」 と怒鳴られました。
 「いや、近所の者ですが、この柿とまんじゅう、いただき物ですがよろしかったら…」
 「やかましいわ!お前の関係ないこっちゃ、ごちゃごちゃぬかすな!」
と喧嘩ごしに言われました。出しかけた柿とまんじゅうのスーパー袋をあわてて引っ込め ました。
 「すみません。余計なことをしました。ごめんなさい」
急いで ポポを自転車の前カゴへ放り込んで立ち去りました。失礼なことをしたかな、とも思いましたが、それより「気の毒な人やな」と思いました。
 最後に私の心に残った言葉は「触らぬ神に祟りなし」でした。 でも、悔しい…。


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