コラム No.41〜50


 No.50
 ◆2008年から2009年へ

2008/12/28

 「ポポちゃん、盗られたんやてね」と年末の巷で噂されています。それも、大阪ミナミの自宅近くの相合橋界隈で、犬のポポを自転車の前カゴに入れて置いてたら、自転車ごと盗まれたというのです。2008年から2009年へ
 年末のテレビ、バラエティ番組の中で、若手のお笑い芸人がこんな話をして大いに盛り上がっていたらしいです。ガセネタです。嘘です。作り話です。でも噂されてるだけありがたいことです。素直に受け止めて、
 「そうやねん、盗まれてん。けど、うちのポポは親(私のこと)に似て賢いから、途中で飛び降りて走って来よったんや。盗られたのは5万円の(本当は3万円)のチャリンコだけや」
と強調しています。
 いやー、まったく2008年は暗く、不景気な、そして仕事の減ったイヤな年でした。
 さぁ2009年です。平成21年1月、まず私の予定です。年明けは10日間、ゆっくりと休んで自宅で静養します……ちゃうねん、仕事がないねん。誰か余裕のある人は声をかけてやってください。趣味「ゴルフ、写真、絵や漫画を描くこと、カラオケ、飲むこと、食うこと、好き嫌いなし、なんでもござれ」です。でも、一番好きなことは仕事をすることです。
 よろしく!


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 No.49
 ◆Uターン禁止

2008/12/13

 最近できた友達で、明るくてユニークな夫婦がいます。その旦那さんのお話です。
 旦那さんが車で友人の家へ行きました。その家の近くにUターン禁止になっている道路があります。標識もわかりにくい所に立っているし、お巡りさんもいないので、ほとんどの人が無視してUターンをしています。ところがその日に限って、物陰からお巡りさんが出てきました。「ピー」と笛を吹いて、「もしもし…」となりました。「免許書を見せて」と言われましたが、急いでいたので玄関の靴箱の上へ置き忘れてきました。
 「すみません、玄関先に置き忘れてきました。すぐ持ってこさせます」Uターン禁止
と言って、携帯から奥さんに電話をしました。奥さんは玄関にあった旦那さんの免許書をつかんで、車ですっ飛んでやって来ました。友人宅の近くでキューとUターンして旦那さんの前で停まると、後ろにいたお巡りさんが出てきて、「奥さんここはUターン禁止ですよ」と、夫婦仲良く交通違反で捕まりました。
 この話を先日、奥さんとお好み焼きをあてにビールを飲みながら聞かせてもらい、「アハハハ」と笑っていると、そこへ当人の旦那さんが入って来ました。
 「ビール!」と注文するなり、「師匠、ちょっと聞いてくださいよ」とUターン禁止の話を始めました。私は「今、聞きましたよ」とは言わず、「どんな話です?」と初めて聞くみたいに耳を傾け ました。途中でも「ふん、ふん」「それから?」「そう…」などの相槌を入れながらしゃべりを促します。奥さんは笑いながら傍観者になっています。旦那さんはさらに熱を込めてつばを飛ばしてしゃべります。そして「最後は2人一緒に交通違反で捕まりましてん」と話は終わりました。
 私は「面白い!2度も聞くと面白さが倍になった」とオチをつけました。
 「何や知ってたんか!」と笑う旦那さん、いつも大声で明るい奥さん、いい夫婦です。高校生の娘が横で白けた目で見ていたのが印象的でした。


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 No.48
 ◆ウンチはどこへ?

2008/11/30

 また犬の話になりますが、ポポと公園を散歩していると、ポポが道端でウンチをしました。私は手提げバックの中からまず紙おしぼりを取り出し、ウンチにかぶせます。それからビニール袋の中に手を突っ込んで、ウンチをつかんで袋を裏返して袋の口を結ぶのですが、その間にポポが少し先の方でまたウンチを始めました。よくあることなのですが、バックの中のおしぼりと袋を探していると、ポポはウンチが終わってトコトコ歩き出しました。
 こりゃいかん、場所がわからんようになる…。ウンチはどこへ?急いでそれらしき所へ行ったのですが、ウンチが見当たりません。小さかったけれどたしかにしているのを見たので探してみましたが、枯葉がポポのウンチの保護色になってしまってわかりません。そんな時のために、50cmくらいの「ウンチ 探し棒」を持っているので、それで枯葉をかき分けながら探しました。でもみつかりません。
 通りすがりのサラリーマン風の人が、
 「何を探しているのですか?」と聞くので、
 「犬のウンチです」
と答えると驚いていましたが、一緒に探してくれました。
 「小さくてわからないからいいじゃありませんか」とも言ってくれましたが、何度も犬のウンチを踏み、靴を汚したイヤな思い出がある私はそのままにはできません。
 10分ほど探し回りましたがみつかりません。ゴルフのロストボールを探すのは5分、犬のウンチは10分が限度です。
 一緒に他人の犬のウンチを探してくれた奇特なサラリーマンに厚くお礼を言い、現場をあとにしました。後ろ髪を引かれる思いでつらかったです。
 このようにウンチを見失ったことをフンシツ(紛失)と言うのですかね。


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 No.47
 ◆「幸助・福助」25年の節目

2008/11/16

 私の弟子に大平サブロー・シローがいますが、その後にもう一組、「幸助・福助」がいます。先日、大阪なんばのワッハ上方で、結成25周年のイベントを行いました。キャパ300席のホールが立ち見も出て、500人近く入る盛況ぶりでした。
 早いものです。16歳の時、私を慕って弟子入りした少年がはや40歳を過ぎました。25年の節目を皆さんに見ていただき、さらなる飛躍を誓いました。子供や子供やと思っていたのに、嫁や子供もいて、幸助なんかは孫もいます。われわれの業界では中堅というところでしょうか。
 ゲストには、「喜味こいし」、「横山たかし・ひろし」、「ミヤ蝶美・蝶子」、兄弟子の「シロー」、以下20人程の人たちが駆けつけてくれました。同じ事務所の田淵岩夫さんが司会をして、盛り上げてくれました。師匠である私も、じゅん・長作を誘って舞台に上がり、久しぶりにレツゴー三匹が揃いました。今は役者のじゅんの頭は、つるつるに剃られてスキンヘッドでハゲをごまかしています。いい役者顔になっています。長作もピン芸で、唄にしゃべりに脂が乗ってきました。私は相変わらず元気一杯、大きな声で顔を真っ赤にして舞台で飛んだり跳ねたり、目立って います。
 「じゅんデース!、長作デース!、三波晴夫でゴザイマス〜」バチン!
をやると、眼鏡がすっ飛んで客席は大爆笑です。「幸助・福助」25年の節目
 2時間半のショーの中で一番盛り上がったのは、主役の幸助と福助の間に私が入って「新レツゴー三匹」を結成し、われわれがやった漫才を再現した時です。ネタの中に私生活のアドリブがバンバン入り、漫才が長くなります。舞台上で立って見ているじゅん、長作、たかし・ひろしもお客さんと同じように大声で笑い、拍手をして喜んでいます。さらに新レツゴー三匹のテンションが上がります。最後のオチのトリネタも大爆笑のうちにバッチリと決まり、漫才は終わりました。
 客席からの大きな拍手を聞きながら、3人は頭を下げます。心の中は充実感で一杯です。いつまでも鳴り止まない拍手に、両横にいる幸助・福助の目が潤みます。今にも涙が落ちそうです。
 「ありがとうございました…」もう一度感謝の気持ちを込めて頭を下げました。
 「今夜のビールはうまいぞ!」


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 No.46
 ◆名犬芸、犬の逆立ち

2008/10/30

 うちのポポ(トイプードル、レッド、5歳)は鈍くさい犬です。 不器用で失敗ばかりしています。誰もいないのに、玄関の方に向かって「ワン!」と吠えてみたり、道を歩いていて片足を溝に突っ込んで体勢を崩したり、オシッコをしてる時でも転びそうになったりするので、思わず笑ってしまいます。
 この前、うちのポポとは違って器用な犬に会いました。黒のトイプードルで、レンガの壁に向かって後ろの右足を上げて上手にオシッコをしていました。ところが、上げている足が段々高く上がっていきます。そのうち、いつの間にか左の後ろ足も上がっていました。まるでバンザイをしているような感じです。私はレンガ塀に両足をつけてオシッコをしていると思っていたのですが、塀とは隙間があいています。ということは、体操で倒立してるようなものです。10秒ほどで逆立ちのオシッコは終わりました。名人芸、犬の逆立ちそして、後ろの両足を同時に地面に下ろして歩き始めました。
 見事な「逆立ちオシッコ」でした。憧れましたねぇ。
 「教えたんですか?」と飼い主に聞くと、「いいえ、いつの間にか勝手にやり出したんです」とのこと。顔にオシッコをかけることもなく器用なものです。
 シャーシャーとした感じで去って行きました。


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 No.45
 ◆緒形拳さんの笑顔

2008/10/19

 緒形拳さんが亡くなりました。大勢の人が名優の死を惜しんでいます。私が日本を代表 する名優、緒方拳さんのことを語る資格はないのですが、30年程前に、われわれ如き一介の漫才師に対して気軽に熱く語ってくれたことを思い出します。
 好きな仕事に誇りを持って、命を賭けてぶつかっていく緒方さんの気迫に感動しながらも、「CMやコメディのようなものはやらないのですか?」と失礼な質問をしました。緒方さんの答えは、「私は俳優です。役者です。芝居しかできないんですよ」とたしかそんな内容でした。その時に、「フーテンの寅さんの渥美清さんと緒形拳さんは、一本筋金が通っている。それも共通の…」と思いました。緒形拳さんの笑顔
 それからしばらく経って、緒形さんが大阪の新歌舞伎座へ出演されていました。私は花を買って楽屋見舞いに行きました。入ったところで、若山富三郎さんと顔を合わせました。「あっ、そうや!若山さんも一緒に出てるんや…」と気がつきましたが、花束はひとつだけです。兄のルーキー新一が、若山富三郎さんには大変お世話になったことを思い出し、うろたえましたが、若山さんは「まぁ中へ入れ」と私の腕を取って部屋へ引きずり込みます。「緒方拳さんのところにに来たんですよ」と断りながら15分程話をしたでしょうか。若山さんの部屋を出たところで、バッタリ緒形拳さんと会いました。
 「ああ、緒形さん、あの…」と言いかけると、
 「若山さんのおやじさんのところへ来たの?」と言います。
 「いや、私は緒形さんのところへ…」と言いかけて、しまったと思いました。「先に緒形さんの楽屋へ行くべきや った。後で行ったんでは、若山さんが『主』で緒形さんは『ついで』になる。困ったことになった」
と思っていると、
 「私のところはいいよ、若山さんのところでゆっくりしなさいよ」
と自分の部屋へスタスタと入り、戸をピタリと閉めました。まるで、すねた子供がいじけて家へ帰った印象を受けました。
 開演前のベルが鳴りました。私は花束を持って廊下で立っている訳にもいかず、マネージャーに花束を渡し、「よろしくお伝えください」と楽屋を後にしました。お互いに相手を気遣いながら、嫌な思いをした楽屋見舞いでした。
 その後、いろいろな人に聞いてみますと、「緒形拳さんはそんな心の狭い人と違う。先輩の若山さんを立てて、向こうでゆっくりなさったらという心の広いおおらかな人ですよ」と皆からそんな答えが返ってきました。
 「『いじけてた緒形さん』と思ってた私の方がいじけてたんや…心の狭い男や、大きな間違いやった」と深く反省しました。
 瀬戸内海、広島の呉をバックにしたドラマ「帽子」は、緒形さんが亡くなってから3回も見ました。ニッコリ笑った緒方拳さんの笑顔が実に印象的です。
 あんな笑顔に私もなりたい。


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 No.44
 ◆「講演」と「おとこ放談」

2008/10/9

 トリオ漫才のレツゴー三匹は今、3人別々に仕事をしています。おでこのじゅんちゃんは逢阪じゅんという名前でお芝居をしています。ヒゲの長作さんは津軽三味線を勉強し、一人高座も勤めるようになりました。おとこ放談
 私、正児も「おとこ放談」と題して、大阪は通天閣の地下劇場や天満の繁昌亭などでこれまた一人しゃべりのピン芸で寄席の舞台に立っています。趣味はゴルフと漫画を描くことで、スポーツニッポン新聞にゴルフ川柳を執筆して10年を越えました。川柳を作り、イラストも自分で描いて、今なお連載中です。
講演会 現在、メインの仕事は講演で、回数も2,000回を超え、精力的に日本全国を飛び回っています。講演のテーマは、基本的には「思いやりとやさしさ」、「やる気のある人間づくり」をユニークにとらえ、面白おかしくパワフルに語ります。爆笑の中にちょっぴり涙ありの1時間30分です。
 敬老会や同窓会のようなちょっとしたサークルの集まりであまり時間のない時は、30分か40分の「おとこ放談」が喜ばれると思います。世相風刺あり、ナツメロありの元気いっぱいにぎやかな楽しい舞台です。
 「講演」でも「おとこ放談」でもご一報ください。パンフレットをお送りします。


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 No.43
 ◆お見事!5,040円の買い物

2008/9/24

 私、レツゴー正児がクイズに当たり、新聞に名前がデカデカ(?)と載りました。クイズの発表欄にはよく「正解者○○○○人中、抽選により次の何名の方が当選されました」なんて書いてあります。今回は正解者が何人いたかはわかりませんが、そこそこ難しい漢字クロスワードです。日本全国から送られてきますから、1,000人くらいの正解者はいたでしょう。
 発表日より10日程前に新聞社から電話がありました。
 「当たりましたよ!クイズに当たりました。紙面に名前を出してもいいですか?」と打診してきました。昔は本名で出していたのですが、最近は芸名の「レツゴー正児」、一点張りです。お見事!5,040円の買い物
 うちの嫁曰く、「クイズの 懸賞のたぐいは芸名にした方がいい。作家の北杜夫さんが投稿好き(?)で、必ず作家、北杜夫の名前を書いてたそう。係の人も『わぁ、北杜夫からや』となる。これが本名の斎藤宗吉では一般人 と同じやから素通りするだろう、という考えやったらしいよ」と教えてくれました。
 「そうや!芸人、レツゴー正児が漢字クロスワードのファンやぞ、ということで、私も新聞社もメリットがあるんや」
 それ以来ずーっと「レツゴー正児」で押し通したおかげで、半年前に2,000円の図書カードが当たりました。でも、これは金額が安く、「商品(図書券)の発送をもって発表にかえさせていただきます」という、世間の認知度も低いタイプの懸賞だったのでそんなに嬉しくはなかったのですが、今回は5,000円の図書券です。金額も倍以上です。
 新聞の発表欄を切り取って、「レツゴー正児」の名前を赤ペンで囲み、みんなに見せてやりました。
 この図書券で定価4,800円+消費税240円、合計5,040円の辞書を買いました。吐き出しが40円だけとは見事な 買い物です。
 さぁ、この辞書でもっともっと日本語を勉強して、もっともっといい物を当ててやるぞ!


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 No.42
 ◆「捨て猫2匹」

2008/9/10

 いつもの、コーヒー180円の喫茶店で、友人のT君とコーヒータイムです。
 「昨日、うちの嫁がえらいものを拾うてきてねぇ」
とT君が真剣な顔をしてしゃべり始めました。
 「うちの近くの公園を通りかかったら、ブランコの横で若いカップルが段ボールの箱を抱えてしゃべっとるねん。段ボールの中には生まれたての子猫が2匹、ミャーミャーと泣いとる。2匹とも白と黒のブチや。テレビで見るパンダの赤ちゃんみたいで、メチャ可愛い。カップルの男性が『うちでは飼われへんで。大家さんがうるさいから、欲しいけど残念や』と言うと、女性が『そうやねぇ、かわいそうやけど置いて行こう。誰か猫好きの人に拾ってもらいね』と答え、段ボール箱を 元のブランコの横に置いて、公園を出て行った。それをうちの嫁が見てた。正児さんも知っての通り、うちの嫁は猫好きや。うちでは10年以上、猫2匹を飼うてるわな。それでも物足りず、近所でウロウロしてるノラ猫がかわいそうや言うて、朝晩2回、猫のいてそうな所へエサをやりに行くねん。そんな奴や。近所の主婦を集めて作ってる<ノラ猫を育てる会>の会長をしとるくらいや。
 さあ、その嫁が段ボールを拾い上げてフタを開けると、子猫がチョコンと寄り添ってて、箱の中に紙が貼ってある。その紙にはマジックで字が書いてあったんや。『猫だけ 持って帰ってください。この段ボールはここに置いといてください。 マジックを入れてありますので、空白の所へ今後この猫をどのように育てるか、一筆書いてください。伝言をお待ちしています』と書いてんねん」捨て猫2匹
 長い話は終わった。私は聞いていて、少し腹が立った。猫を育てられん情けない奴が捨ててしまって、育ててくれ、結果を報告してくれとは厚かましい奴や…とは言うてみたが、私も犬を飼ってる。わからんこともないなぁとも思った。
 そこでT君に聞いた。
 「伝言を書いたんか?」
 「どこの誰かわからん人に書けるかいな」と言う。
 「わかるがな。さっき抱き上げてたあのカップルやがな」
 「あのカッツプルは大家がうるさいから飼えへん言うてたがな」
 「アホ、君の嫁が遠くでジィーと見てるのを知ってて、芝居をして置いて行ったんや」
 「あーそうか、そう言えばそうや。公園出る時も、何度も振り返ってた」
 これで話は終わった。

 「2匹の子猫はどうした?」
 「うちで 育ててる。猫4匹になってる。これから注射器を買いに行って来るわ」
 「注射器なんか何するねん?」
 「子猫やろ、まだミルクを上手によー飲まん。注射器でわしが飲ましたるねん」
と喫茶店を出て行った。
 猫を拾う嫁も、注射器を買いに行く旦那も、似たもの夫婦じゃ。
天下 泰平のめでたし、めでたし。


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 No.41
 ◆「名前はポポ、オス、5歳、噛めへん」

2008/8/28

 ポポの散歩道に時計屋さんがあります。75歳の元気なおばあちゃんが店先で座布団にちょこんと座って、表を通る人を眺めています。私がポポを連れて通りかかると、いつも走って出て 来ます。「ワンちゃん!ワンちゃん!」と手を差し出すので、「おばあちゃん、このワンちゃんはポポですよ」と、毎回名前を教えますが、なかなか覚えてくれません。もう1ヶ月にもなります。散歩は朝と夕方の2回です。往復ですから、1日4回もこの道を通って毎回名前を教えているのですが、何度言ってもダメです。その度に、「あぁ、忘れた…」の繰り返しです。
 この頃はおばあちゃんの顔を見かけると、「おはようございます」とか「こんにちわ」の挨拶より先に、名前はポポ、オス、5歳、噛めへん「名前はポポ、オス、5歳、噛めへん」と言います。それを聞くと、おばあちゃんは安心してポポをだっこするのです。
 昨日のことです。おばあちゃんが走って出てきました。いつも通り「ワンちゃん、ワンちゃん」と言っています。私は諦めました。そこへ業者のお兄ちゃんがタバコをたくさん持ってやって来ました。表の自販機のタバコを入れ替える人です。おばあちゃんは、その業者の人達に自分が抱いているポポを見せながら、
「兄ちゃん、かわいいい犬やろ。名前はポポ、オスの5歳やで」
と紹介するじゃありませんか。
「ヒャー、初めてや、覚えてくれたぁ!」と店の中へ飛んで入り、家の人に、
「おばあちゃんがポポ言うてくれた!」と大声で報告しました。
娘さん(50歳)とお孫さん(小6)も驚いています。
「やったぁ!」家の中は大騒ぎです。業者のお兄さんがタバコの詰め替えを終えて、
「おおきに、伝票ここへ置いときます、サヨナラ」と帰って行きました。
「おばあちゃん!散歩に行って来るわ」と声をかけると、
「あぁそうか、ハイ」と私にポポを返してくれました。
「師匠、ところでこのワンちゃん、名前は何やったかいな?」


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