コラム No.21〜30


 No.30
 ◆家族の名前は時間割

2008/3/27

 私の学生時代の友人に「西村修二」という人物がいました。弟は彼より2つ年下で、耕作(こうさく)といいます。妹の名前は利香(りか)ちゃんです。そして、お父さんは英悟(えいご)です。これって、よく考えたら習字、工作、理科、英語と違いますか?家族の名前は時間割その上、驚くなかれ、お母さんの名前が「保健体育」という珍しい名前で……ウソですがな、アッハッハ!そんなけったいな名前がありまっかいな。
 これは私が学生時代に作った漫才のネタですわ。でも、修二と耕作は実在する友人で兄弟です。しかし、大人になると兄弟の立場が逆になりましてねぇ。長男が「痔」を患い、次男が「腸」を患ったために、長男が痔難(じなん)で、次男が腸難(ちょうなん)になったんですよ。
 もうええっちゅうねん!チャンチャン


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 No.29
 ◆今年は縁起がええぞ〜!

2008/3/11

 私が今、舞台でやっている「おとこ放談」の中に、中年音頭という歌のだしものがあります。若い客が多い時は、中年ラップにして歌います。

  ♪背は低いが血圧高い 血糖値上がるが尻たれる
   足は重たいサイフは軽い 軽いサイフに羽根生える
   耳やら目やら遠なった 近くなったはオシッコ トイレ
   トイレに行ってもすぐに出ん チンチン短い小便長い
   勢いないのに切れ悪い 虫歯 さし歯は増えてきた
   仕事はだんだん減ってきた 肩は凝るのに女に懲りん
   恥かき 義理欠き いびきかく♪

と、この5倍くらい続きます。後半には、「宝くじとか懸賞などは今まで当たった試しなし」とあります。本当に何も当たらん運の悪さです。
 最近、ハガキをまとめて買ってきて、新聞、雑誌に出しまくっているのですが、 正解はしても景品にはかすりもしません。応募者7,500名中、正解者5,150名という人数では当たる訳がない。
そのくせ、腐った物を食ったらすぐに当たるのです。
 「私しゃ一生厄年かぁ…」
今年は縁起がええぞ〜!
と言い続けていたら、この3月5日、なんと産経新聞から朗報が届きました。遂に当選したのです!図書カード(1枚1,000円分)が2枚!!たとえ2,000円でも、私にとっては福の神です。
こいつは春から縁起がいいや。これからも産経新聞をずーっと取るぞー。

 写真:両手に持っているのが図書カード、首にぶら下げているのが当選通知文。「拝啓 産経新聞社発行 月間『くらしの百科(1月号)』“クロスカード”へのご応募ありがとうございました。 厳正なる抽選の結果、貴殿が当選されましたので“図書カード”をお送りいたします」と書いてありました。

 この図書カードで、『広辞林』か『広辞苑』を買おう…。


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 No.28
 ◆あいさつする人はいい人

2008/2/24

 顔見知りの人と道で会うとあいさつをします。これは当たり前のことですが、あいさつをちゃんとしておくと世間の人は「いい人だ」と言うんですね。
 ニュースでよく、事件が起きて犯人が逮捕された時、レポーターが近所の人に犯人の印象を聞くと、
 「驚きましたねぇ。まさかあの人がねぇ…日頃きちんとあいさつもするいい人ですよ」という言葉が返ってきます。だから、あいさつをする人は善人で、しない人は悪人というイメージが作られているのです。こんな時、もし私が犯人なら、近所の住人は私のことをボロクソに言うだろなぁと思っています。あいさつする人はいい人
 私の住んでるマンションはミナミのど真ん中にあり、24時間エレベーターが動いているにぎやかな所です。住人は80人くらいいますが、半数は東南アジア系の外国人です。エレベーターの中で会っても話をしません。芸人なのでもうちょっとにっこり愛想よくすればいいのに、それができません。まして外で出会った時には顔はほとんど覚えていないので、無視して素通りしてしまうでしょう。とにかく無愛想なおっさんです。
 もしこんな男が犯罪でも犯そうものなら、近所の住人のコメントはひどいに決まっています。
 「あの男が警察に捕まった?何をしよったんや?何、チカン!そうやろ、あの男やったらやりそうや。陰気な男や。チカンだけとちゃうやろ、もっと余罪があるはずや、押し込み強盗とか、詐欺とか…」
と、ここぞとばかりに攻撃されるでしょう。
 よーし、絶対悪いことだけはせんぞー!
 (…ん?あいさつするんちゃうんかいな)。


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 No.27
 ◆「ご愁傷様です」

2008/2/11

 先日、喫茶店で年配の人に、
 「正児さんとちがいまっか?私、ファンでしたんや」
と声をかけられました。ご愁傷様です
 「へぇ〜、元気でやってはりましたか。あぁ、よかった」
と、まるで元気でやっているのが不思議なことのように言われました。
 その上、「私ねぇ、あんたの兄さんが大好きでしてねぇ」と、今度は死んだ兄、ルーキー新一の話を始めました。一通りしゃべり終えると、
 「ところで、兄さんのルーキー新一さんはどないしてはりますのん?」
と聞いてきました。
 大のファンやったら知らんのかい!と内心思いましたが、そこはグッと抑えて、
 「30年前に亡くなりました」
と静かに、丁寧に、そして厳かに申し上げました。
 するとその人は感慨深げにため息をついて、
 「そうでしたか…」と私の手を両手で握り、
 「知りませんでした」と答えました。その言い方がまるで身内のようで、私には、兄が生きていて私が死んでいた方が…という感じに聞こえたので、ちょっと意地悪く、
 「私が兄でなくてすみませんね」と言うと、
 「いいえ、いいえ、いつまでも元気で頑張ってください」
と静かに帰って行かれました。
 最初は賑やかだったのに、帰って行く時はお葬式帰りのような後ろ姿でした。
 「ご愁傷様です」。


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 No.26
 ◆優しいおまわりさんと悪い市民?

2008/1/30

 自転車に乗ってポポと公園を散歩していると、
 「ちょっとお伺いしてもいいですか?」
と若いおまわりさんに呼び止められました。どうやら職務質問のようです。私はおかしな性格で、職質されるのが大好きです(これは何もやましいことがないからです)。
 「うれしいなあ、これで2回目です。前回は20年も昔の話でしたよ」
とウキウキしながら答えていました。
 「この自転車はあなたの物ですか?」
 「ハイそうです。」
 「名義は誰になってますか?」
 「私…レツゴー正児です」
 「え?レツゴー正児??」
 おかしな名前なので不信がっています。そりゃあそうです。われわれレツゴー三匹が売れていたのは、もう30年も前の話なのですから、20歳そこそこの若いおまわりさんには聞き慣れない名前です。まして私は今やテレビタレントではなく、地方での講演や寄席に出るのが専門ですから、50歳以上のおまわりさんでないと知らないでしょう。
 「芸人なんです。レツゴー正児というのは芸名です」
 若いおまわりさんは自転車の番号を控えています。そこへ、犬を2匹連れて散歩中の友人が通りがかりました。
 「おーい!何してんねん?」
 「あぁ、おいで、おいで!今、職質されてんねん」
と、私は得意顔で友達を呼び寄せました。おまわりさんも、これは盗難車じゃないと思ったのでしょう。自転車の登録番号を控えたものの、本署へかけようとしていた電話を途中でやめてしまいました。
 「調べないんですか?」
と私は促しました。おまわりさんは、
 「いえ、結構です。気をつけて行ってください」
と優しく笑顔で解放してくれました。優しいおまわりさんと意地悪な市民
 それから3日後、同じおまわりさんが公園近くの信号を渡っていました。今度は私から、
 「もしもし、おまわりさん!」
と呼び止めました。すると、おまわりさんは引き返して来ました。
 「おまわりさん、先日はごくろうさまでした。3日前、職質をしていただいた芸人です。今日は職質の用はないんですか?」
と誘い水をかけました。しかし、
 「いやいや、今日は結構です。あの時はお忙しいのにすみませんでした」
と挨拶をして、信号を渡って行きました。
 しつこくおまわりさんと遊ぶ私は悪い市民でしょうか?


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 No.25
 ◆全席喫煙OK

2008/1/18

 近所にカッコイイ喫茶店があります。セルフの店ですが、センスが良く、きれいです。中で働いている女の子もかわいくて美人ぞろいです。そして何よりコーヒー180円というのが嬉しい。友人と1日に2回は行きます。ただ、12時から1時迄の昼休み時間は避けるようにしています。サラリーマンやOLで満員になるからです。「全席喫煙OK」と大きく書いてあるので、皆、タバコを吸いにやって来くるのです。
 ある日、たまたまお昼時間にさしかかり、OLが4人入って来ました。私を挟んで、右に2人、左に2人とわかれて座りました。座ると同時に、4人はタバコを取り出して、一斉に火をつけました。しゃべりながらスパスパやっています。しばらくして、それぞれ1本吸い終わりました。タバコを吸わない私は煙がイヤなのでホッとしました。全席喫煙OKでも、よく見るともう2本目をもう口にくわえています。そんな早業が3回続きました。4人全員が立て続けに4本吸ったということです。コーヒーもいつの間に飲んだのか、なくなっています。彼女たちは30分程で帰っていきました。
 入れ替わりに、男性が2人、タバコとライターを手に持って入って来ました。
 「あかん!」
 私は立ち上がりました。
 家に帰ると、着ている洋服や持っていたカバンに臭いがしみつていました。昼休みの時間のあの店はアカン、別の喫茶店にしよう…。しかし、ちょっと遠いし、客はきたないおっちゃんが多い。それに何よりコーヒー代が20円高いのが痛い。
 つらいけど、やっぱり辛抱しようか…。


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 No.24
 ◆新年のご挨拶

2007/1/5

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2008年のご挨拶


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 No.23
 ◆舞台で怒ったらあかんけど…

2007/12/29

 12月の下席、B1角座に出演していた時のことです。私がたまたまトリ(いちばん最後の出番)を勤めていました。客席に、トップの芸人が出た時から野次を飛ばしている酔っ払いがいました。10組ほど出ているどの芸人にも、酒の勢いでからんでいきます。相手をすると、次から次へと 調子に乗ってやめません。静かだったのは彼がトイレへ行った時だけです(当たり前や)。私の出番の前の漫才コンビが「漫才をさせてくれませんわ」とぼやきながら降りてきました。さあラストは私の番です。持ち時間は15分。
 私が舞台へ出ると、客席の最前列のど真ん中に座っていた客が立ち上がりました。そして大きな声でしゃべり出しました。この客ですわ。私は無視をして、その男以上の大きな声でしゃべりました。向うも負けずにやり返してきます。しゃべるというより、私に向かって叫んでいるのです。迷惑なのはほかのお客さん達で、腹が立ちながらも黙って見ているおとなしい人たちばかりです。それをいいことに、酔っ払いは さらにテンションを上げて叫んでいます。私が出て5分近く経つのに、酔っ払いは私と並行して好きなことをしゃべり続けています。
 半分が過ぎました。あまりにやかましいので、私は「すみませんがちょっと静かにしてくれませんか」とお願いしました。すると、「わしは客じゃ。金払うて入って来たのに文句あるんか!」と居直ってきました。そこで、「金払うたからいうて何をしてもいいというもんじゃないんです。ここにいらっしゃる大勢のお客さんはあなたのしゃべりを聞きに来られたのではなくて、芸人さんたちの楽しい話、面白い話を聞いて笑うために来られたのです。それをあなた1人のために、笑うどころか怒っていますよ」と注意をすると、場内から大きな拍手が湧きました。
 おとなしかったお客さん達もついに堪忍袋の緒が切れ、「そうや、静かにせえ!」、「ちょっと黙っとれよ!」と言い出しました。そこで私が、「もしこれ以上やかましくされるのなら、外へ放り出しますよ」と言うと、「面白い、放り出さんかい!やってみい!」と両手を広げていすの上に仰向けになり、粋がっています。客席の一番後ろで顔見知りの若い研修生が2人、劇場のハッピを着て立っていたので、「君ら、すまんけど、この人を外へ放り出してくれ!」と指図しました。舞台で怒ったらあかんけど…
 柔道をやっていた2人です。走ってきて、酔っ払いをサッと担ぎ、外へ連れ出してくれました。酔っ払いは担がれながら、胴上げをされているみたいになぜか喜んでいました(けったいな客や)。その後は静かでホッとした雰囲気に戻りました。
 さあ、残された時間は少ない。5、6分と短い時間ですが、しっかりといい舞台をやらないかん、と気を引き締めて、熱を込めながらテンポを上げて頑張りました。おかげで時間は少しオーバーしてしまいましたが、いい汗をかきました。皆さんの大きな拍手の中で幕が降ります。お客さん達は嫌なことを忘れて、「良かったよ!」、「面白かったよ!」と声をかけてくれました。
 お客さんはありがたい。エンディングの音楽を聴きながら、「芸人になって良かった…」と実にすがすがしい気持ちで頭を下げ続けました。


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 No.22
 ◆サンタさんの本名は“甚ぐう兵衛”

2007/12/8

 12月半ばを過ぎると、街では「♪ジングルベル」の音楽が聞こえてきます。
 さて、友人のT君と、いつもの朝のコーヒータイムです。T君曰く、「僕は子供の頃、ジングルベルをジングウベイだと思っていたよ」と50年以上も昔の話を始めました。
 “甚ぐう兵衛”というのがサンタさんの本名で、12月24日のクリスマスイブになると、甚ぐう兵衛さんが煙突から入って来ると信じていたのです。しかし、彼の家は長屋で煙突がありません。このままでは、甚ぐう兵衛さんが入って来ることができず、プレゼントがもらえません。そこで、24日の夜は、どんなに寒くても、両親に「窓は開けておいてよ」とお願いして、枕元に靴下を置いて眠りました。
 両親はT君が眠ったのを確かめると、靴下にプレゼントのキャラメルを放り込み、急いで窓をピシャリと閉めました。
 こんなことが4、5年続きました。彼は甚ぐう兵衛さんの存在を信じて、中学生になるまで毎年窓を開けて眠っていたのです。甚ぐう兵衛さん実にかわいいというか、幼稚というか、世話のかかる厄介なガキだったんですわ。
 厄介な性格は今も残っています。トイレから出てきても手を洗わないのです。バカほどタバコを吸います。しゃべる時はつばを飛ばします。
 今、私の目の前で大きな声でしゃべっています。私は手でコーヒーカップにふたをしながら彼の話を聞いています。

 彼の話が終わりました。私はおもむろに手を離して、コーヒーを飲み始めました。


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 No.21
 ◆中学生の前で1時間30分

2007/11/28

 先日、中学生300人を相手に講演をしました。高校生や大学生、成人式の若者を対象にしゃべったことは何度かありましたが、中学生は初めてです。
 私は子供たちが話を聞かないだろうと思ったので、開口一番、「君たち、お父さんの話を聞いていて面白いですか、面白くもないでしょう。おじいさんの話は…それ以上につまらんでしょう。私はちょうど君たちのおじいさんの歳です。しかし、時代が変わっても、人の心は変わらないと信じて、私なりにしゃべります。面白くなければ寝てくれてもかまいません。トイレへ行って休んできてもいいでしょう。でも、人にだけは迷惑をかけないように。1人でも『聞いてやろう』と言う人がいれば、私は決して投げません。今から1時間半、一生懸命しゃべります。君たちも大声を出して騒いだり、走り回って人に迷惑をかけるようなことだけはしないように」と言いました。
 ところが、子供たちは1時間30分、実に静かに、熱心に聞いてくれました。終わると大きな拍手が沸きあがりました。その拍手を聞きながら、中学生の前で…「30人程の保護者の方、15人程の教員の方にお礼を申し上げます。授業の一端として、よく私の講演を企画してくださいました。ありがとうございます。そして、それ以上に私の期待を裏切って、実に熱心に話を聞いてくれた中学生諸君!今日は実に嬉しい。心から感謝します」と結んで終わりにしました。
 南港南中学校の中学生の皆さん、ありがとうございました。


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