コラム No.111〜120


 No.120
 ◆笑顔は財産

2012/2/2

  四つ橋線、長堀通りの信号をチャリンコに乗って走っていると、前から宅配便の台車がやってきました。若くてきれいな女の子が 一生懸命押しています。このまま行くとぶつかるので、私が気をきかして横へハンドルを切って止まり、台車の通過を待ってあげました。すると、彼女が私の姿に気がついて、
 「あっ、すみません、ごめんなさいね」
と笑顔で会釈しました。
 「きれい!めっちゃきれい!!」
  こんなきれいな若い女の子が、笑顔は財産目の前でこっちを見つめてくれたので、ゾクッとするほど胸がドキドキしました(70すぎのおじいのくせに…)。
 笑顔がきれいなのは財産や。よし、私も今年のモットーは「笑顔」と決めた!これで今年はモテるやろう。ラサール石井、堺正彰、加藤茶…みんな親子以上年が離れているし、私も負けてられへん。
 ん?そんなこと言うてる場合やない、犬の散歩の時間や、家へ帰らんと!


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 No.119
 ◆反省から始まった2012年

2012/1/15

 新しい年を迎えた2012年、辰年(私も年男)。「よーし頑張ろう!」とスタートしたものの、世の中は もう若い人の時代です。私は70を超えていますから、忙しい訳がない。ちょっとでも声がかかると、仕事の資料 を送ったり、会って話をしたりします。お酒の席に呼ばれることもあります。大阪市内であれば、どこへでも自転車でとんで行きます。1軒か2軒で終わればいいのですが、ついついハシゴ酒になってしまいます。呼ばれた席は11時をリミットに、その後は自己責任。
 そして1人になり、ホッとして行きつけの店に寄る…これがいかんのです。家が段々遠くなります。家人から携帯に電話が入って、
 「起きてる?お店に迷惑かけてへん?気をつけてすぐに帰ってこなあかんよ!」
と言われると、「わかった!」と言いながらも脱線です。
 1月11日の夜中もそうでした。午前1時過ぎに自転車で次の店に向かいながらもフラフラのようでした(自覚なし)。その直後、ひっくり返っていました。立ち上がろうとするのですが、一度こけると駄目ですね。電柱やガードレールにぶつかる。「あかん、あかん」と思っていても何が何だか。そして血だらけになったみたいです。酔っているから痛くもない。家からかかってくる携帯も無視して走るからどうしようもない。そのうち携帯も落としてしまったようです。自転車も体も血だらけ…のようでした。反省から始まった2012年
 家へ帰ったのは午前3時半。顔や腕や胸、両手、両足15ヶ所ほど、打撲と出血です。手当はしてもらったものの、顔はボクシングでノックアウトされた選手みたいに腫れあがっています。「こりゃ自分の顔じゃない」と思いました。その朝から病院通いです。家人はこれ幸いと、関係のない脳神経科にまで連れて行きます。どの医師にも「重傷ですよ」と言われました。あげく、
 「命には別状ないですが、もう若くないんですからね」
と若い息子みたいな先生に説教されました。
 かわいそうな被害者はわが家の愛犬ポポ。ひとりぼっちで長時間留守番。散歩や入浴の時間が不規則になり、不安そうです。
 本当、今回は十分に反省しております。


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< No.118
 ◆風流な師走の法善寺寄席

2011/12/23

 凍りつくような冷たい年末、大阪ミナミの水掛不動尊でミニ寄席が開かれました。落語や漫才で4組だけの出演者です。
 私は「一匹放談」と題して一番最後にやらせていただきましたが、お客さんも通の人の集まりで客席からも大いに声がかかります。そしてよく笑ってくださいました。名人になった気分です。私もお客さんとのやりとりをふんだんに取り入れ、予定の30分があっと言う間に過ぎ、5分オーバーしました。
 最後は温かい拍手で幕が下りました。帰ろうとすると、お客さんの何人かが出口で待っていてくれて、拍手で風流な師走の法善寺寄席
 「ありがとう!良かったよ!楽しかったよ、次回もまた見に来るからね、ありがとう!」
と何度もお礼を言われました。こちらがお礼を言わなければいけないのに、逆にお客さんに声をかけていただいて、大変恐縮した法善寺寄席でした。


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 No.117
 ◆0(ゼロ)はいつまでたっても0(ゼロ)や

2011/11/24

 友人の鳳キング君から「ゴルフコンペに参加しませんか」というお誘いがありました。私はここ5年ほどゴルフをやっていません。左肩は痛い、左膝も痛い、そのうえ右腰が痛くなってきたので、「もうゴルフは無理や」と思っていました。3、4人分あったバックや用具も処分してしまったのです(1人分だけは残して…)。0(ゼロ)はいつまでたっても0(ゼロ)やでも考えてみれば、犬の散歩で朝2時間、夕方2時間、出かけているのです。それやったらできんことはない!と思い、「もし途中でリタイアしたらごめんね」と断って参加させてもらいました。
 それがなんと、1ラウンド見事にやり遂げました。自分でも驚きです。やればできる。70人ほどの参加者の中で、私が最高齢です。
 その後のパーティも大いに盛り上がりました。私の前に座った45歳くらいの男性が、
 「20年ほど前に正児師匠の講演を聞き、感激しました。『やろうと思ったら迷わずにやれ、ぶつかって行け。0(ゼロ)はいつまでたっても0(ゼロ)や。まずやって1を作れ。それが2にも3にも10にもなる。明日から、来月から、来年になったら…そんな奴はいつまでたってもやらん。今日から、今からや!』という話を聞き、感激しました。私もボクシングが好きでやり始めて、それが今では大勢の人に教えるトレーナーになりました。感謝しています」
という言葉に、今度は私の方が嬉しくなって感激しました。


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 No.116
 ◆クイズはええもんや

2011/11/3

 私、レツゴー正児はクイズ大好きオジンです。クロスワード、ナンクロ、漢字クイズ…と何でもござれですが、71歳をオーバーしてからは、急に小さい字が読みにくくなりました。数字の「6」と「9」、「3」と英語の「B」をよく間違えます。アルファベットでは、「C」と「D」と「G」、「E」と「F」なんかが似ていますね。ルーペがいるので、しばらくクイズとは疎遠になっていました。
 そんなある日のこと、わが家のメールボックスをみると、一通の封書が入っていました。裁判所からの呼び出し状(?)みたいな感じです。おそるおそる開けてみると、
 「正解です。この用紙と印鑑を持って郵便局へ行き、賞金を受け取ってください」
と書いています。クイズはええもんや
 「ああそうや、こないだ酔った勢いで夕刊のクイズをやって、ハガキを出したんやった」
クイズをしたことも、ハガキを出したこともすっかり忘れてました。
 その賞金で早速、愛犬ポポを散髪に連れて行きました。いつも「犬の散髪代は高いなあ」とぼやいているのに、今日に限ってはちっとも高いとは思いませんでした。
 「クイズはええもんや」


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 No.115
 ◆ダブルでとちった!

2011/10/20

 愛犬のポポを前かごに乗せてチャリンコで走っている時に、くしゃみが出そうになりました。ポポにかかるとかわいそうなので、左横を向いて「ハックション!」とやると、ちょうどその時、女子高生が後ろから私を追い抜こうと出てきたので、つばがかかったような気がしました。
 「ごめん!ごめん!」
と大きな声で謝ったのですが、女子高生はもう前の方を走っています。幸い、ポポの散歩用の袋の中には濡れおしぼりやティシュが たくさん入っているので、それらをつかんで追いかけました。前方の信号が赤なので、その女子高生は止まって友達としゃべっています。
 やっと追いつきました。
 「さっきはごめんね。大きなくしゃみをして…かからへんかった?」
ともう一度詫びたのですが、けげんそうな顔をして私をじっと見つめています。ダブルでとちった!「変なおじさん」 と怪しんでいるようです。すると、もう1人の女子高生が
 「おっちゃん、私や!私や!横を通ったんは…。何ともないけどもらっとくわ。ありがとう」
とにっこり笑って受け取ってくれました。
 「また間違えた、今日はダブルしくじりや」と思いましたが、女子高生の笑顔が実にさわやかで気持ちよかったです。


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 No.114
 ◆罪のない嘘

2011/9/27

 犬の散歩の時、私はチャリンコで走り、ポポがその横を走るのですが、人通りの多いところは危ないので前かごに入れて走ります。
 ある日、千日前通りで信号待ちをしていると、若いカップルが近づいてきました。
 「ヒデキ!見てみい、かわいいトイプーや」
と女の子がポポを触りに来ました。
 「ほんまやなあ、かわいいなあ。ミホ、ずっとこんな犬欲しいっていうてたもんなあ。オレも欲しなるわ」
と彼が言います。
 「おっちゃん、この子、名前はなんて言うん?」
と聞くので、「ヒデキ」と言ってやりました。
 「ええっ!ヒデキ!?オレと一緒や!そうか、すごい偶然やなあ!」罪のない嘘
と、2人とも自分たちの名前を呼び合っていたことも忘れて感激しています。
 信号が青に変わりました。ペダルを踏み出すと同時に、
 「ほんまはポポ言うねん…。嘘ついてごめんな、ヒデキ君!」
と言い残し、通り過ぎました。2人は後ろで キヤッキヤッと喜んでいました。
 罪のない嘘は楽しいものです。


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 No.113
 ◆ネコのユメちゃん

2011/9/12

ネコのユメちゃん
 私はイヌを飼っていますが、茶飲み友達のT君はネコを飼っています。T君の奥さんがネコ好きで、公園で捨てられていた生まれたてのネコを拾ってきたのがきっかけです。子供のいない2人はそのネコに「ユメ」と名付け、大事に育てています。
 先日、T君が水を飲もうとコップに水を入れておいたのですが、トイレに行っている間に、ユメがその水を飲んでしまいました。その時、奥さんはユメを捕まえて抱き上げ、真剣にこう言って聞かせたそうです。
 「これ、ユメ!お前は何てことをするの、これはお父さんのコップやで。病気でもうつったらどないするん、アホ!」
 T君はその言葉を複雑な気持ちで聞いたそうです。 


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 No.112
 ◆空振りを素振りに見せて・・・

2011/9/3

 「8月25日付けのゴルフ新聞に、正児さんのことが載ってるよ」
と知人が記事を送ってくれました。名古屋の金城学院の学長さん(柏木哲夫氏)が書いたコラムです。コラムの1回目は今は亡き作家の城山三郎さんについて、2回目はこれまた有名作家の伊集院静さんについて書かれていて、そして最後の3回目に、変わり種として、私、レツゴー正児を取り上げてくださっていたので、それはもう驚きでした。昔、私が出版したゴルフ川柳の本について評されていて、その内容はこんな風でした。
 約150ばかりのゴルフ川柳を作り、独特の軽妙な語り口で解説し、ユーモラスなイラストを一句一句添えてある実に楽しい本。
 光栄の極みです。そして、「他人のふんどしで相撲を取るのはやや気が引けるが、正児川柳を3句だけ紹介させていただく」と言って、以下の3句を選んでくださいました。

○ OKと 言ってくれるを しばし待ち
○ これ程の 努力を人は 運と言う
○ "8"か"9"か 思ったときは まず"9"や

空振りを素振りに見せて・・・ 私がこの中で一番気に行っているのは2番目の句です。まるで自分のことを表しているようだからです。ライバルに1打差で勝ち、ガッツポーズをしたところ、ライバルは一言「運が良かっただけや」と悔しさを振り払うように言い放ったという光景です。
 ちなみにもう一句、イラストに書いた野暮ったい光景をうたった句も私のお気に入りです。


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 No.111
 ◆もう一度聞きたい

2011/8/5

 父親が病弱だったこともあり、私は2年遅れて高校に入りました。そのため、高校を卒業した時には20歳になっていました。
 高校卒業後、就職も決まっていたので、休みの間に1人でぶらっと道後温泉へ行きました。少年の好奇心で、夜は歓楽街の探訪です。
 ネオン街に出ました。路地を入ると、こじんまりしたきれいな店があり、老婆が屏風の前で座布団にちょこんと座っていました。
 「何をしているのですか?」
と声をかけると、
 「三味線の弾き語りです」
と言って、横に置いてある三味線を自分の膝にのせて引き始めました。きれいな声で淡々と語ってくれます。

 ♪伊予の松山兄妹心中〜
もう一度聞きたい
 単調なリズムですが、実に切ない恋物語です。両親を亡くした男の子と女の子が兄妹で生きていく話です。うまい!引き込まれました。最後に2人が死ぬシーンがすごくロマンチックでした。
 もう一度あの老婆の語りが聞きたいと、道後へ行くたびに探し回りましたが、見つかりませんでした。今でも生きていれば120歳くらいでしょうから当然ですが。今でも切ない声が耳の底に残っています。

 ♪ある日兄さん妹を呼んで お前この頃どうしたことか〜


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